2014年2月10日月曜日

ジンカーズ「SERVE」

Tシャツを買って帰るまでがジンカーズライブだと聞いていたので、
お札を握り締めて劇場へ向かったのですが、今回は少々デザインが
尖り気味だったため断念することに。
 
うーん、ピストルズかあ。
私が真っ当にロックファンでフェスとか行く人ならば…。
もしくは
「デザインとかよくわからないんですけど、なんかカッコいいから
着てるんですよ~」
と言えるだけの若さがあれば…。
 
さて、今回の単独ライブ。
一番楽しみにしていたのは、新ネタ会議でいじり倒されていた
単独用のコントがどう変わっているか?でした。
「娘さんを下さい!」を会議にかけたのですが、馬場さんが
そのままでは父親役に見えないから口ひげをつけたら、
長髪&ひげ効果で、どう見ても空手道場の師範代になってしまった。
そこから皆、空手道場ありきのネタ案をガンガン出してきて
 
「道場の雰囲気を出すために、真ん中に甲冑置いておこうよ」
「暗転板付きの段階で、瓦割りのSE(てやぁっ!パリーン)入れてから
コントに入ろう」
「娘はやるけれど、道場の看板だけは譲らない親父にしよう」
 
あ~あ、もう、めちゃくちゃ(笑)
なぜか、大水さんがふざけて演じているうちに、看板を譲らない
師範代役の演技が仕上がってきているし。
大水さんが上手くなってどうするの。
 
結果的に、この新ネタ会議意見は採用されていませんでした、
って、当たり前ですね。わはは。あっ、でも1つだけ。
「WIN-WINの関係です」「ロス!ロス!」のやり取りが面白いから
増やした方がいい、という意見は取り入れられていた気がする。
 
奇妙な居酒屋の客引きコントも面白かったなあ。
2人がとっても楽しそうに演じていて。
 
今回は他の人に依頼をしたコントが1つ入っている、と事前に
アナウンスがあり、私はそういうの全然わからないタイプだし
と思っていたけれど、馬場さんがいとしのエリーを歌ったところで
あっ、コレだわと。
 
作者はギースの座付き作家・向田邦彦さんでした。
コントメンの楽屋で頼んだらしい。
言われてみればギースっぽいかな?でも、ギースとジンカーズは
雰囲気が似ているところがあるので、違和感もあまり感じず。
(選曲以外は)
もしかして芸人さんに頼んだら、もっと「いかにもジンカーズ」という
コントが届いたかもしれないですね。その辺りも考慮に入れて
コント作家に依頼をしたのかしら。
 
英会話教室のネタと拝啓・吉田戦車様は、アナーキーさが
これぞジンカーズ。政治と宗教方面にきな臭い。
本人達から「自分たちはあくまでもフィクション芸人ですからね」
と念押しがある通り、本気じゃないのがわかるからあくまでも
気楽に笑って見ていられるわけです。適度にポップ。
 
いわゆる地下というかアングラ系なライブとか、ロフト
プラスワンの深夜でたまに遭遇する
「これは・・・本気で思想的にギリギリアウトな人だ・・・」
というノンフィクション芸人も、それはそれで面白いのだけれど
私にはちょっとハードルが高すぎるので。
ジンカーズのポップさが丁度ええ。
 
コントとコントの間を映像で繋ぐのではなく、ラジオ風に2人が
お喋りをしている録音を流す形式が面白いですね。
ライブを見終わった観客が、コントについてあれこれ感想を
話したり想像をするより早く、本人達が解説を入れちゃう。
コントで伝えたいポイントが、はっきりしているんだろうな。
そして、コント間に流す音楽へのこだわりが強く、確かにどの
曲もかっこいい。
 
楽日に開催された、馬場さん&K-PRO主催者・児島さんの
トークショーにも参加しました。
2人とも、本当にお笑いが好きなんですね。特に児島さんは
たくさんのライブ主催で毎日お忙しいでしょうに、どれだけ
アンテナを広げているんだろう。
 
興味深い話をたくさん聞くことができた中で、特に心に残った
のは、ジンカーズの「フリー」という立場について。
私はあまりお笑いの業界に詳しくないけれど、一般的に芸人が
フリーで売れることは難しい、とされているようで。
だから現在フリーです、と言うと、次に所属する事務所を探している
状態、つまり就職活動中のように思われるふしがある。
 
しかし、ジンカーズは事務所に所属するメリット・デメリット、
フリーであることの優位性、そしてお笑い界の流れをちゃんと
分析した上で、現時点では自分たちはフリーであることがベストだと
判断している。
もちろん、それはどの芸人にも当てはまるわけではなく。
児島さん曰く、馬場さんはマメで、企画力や交渉力があり
「ワガママが過ぎて、性格が合わない人の言うこと聞かないから」
フリーが合っているそうです(笑)

そうだ、ラブレターズの話も出たからメモ。
芸人には企画の上手いプロデュースタイプと、パフォーマータイプ
がいて、馬場さんは前者だと。

「パフォーマーにも憧れるんだよ・・溜口とか。
あいつの表現力は下の世代の中で抜群 !
ラブレターズは塚本が書いたネタにここはやりにくい、と溜口が
ダメ出しする時も、それが芸人の視点じゃないんだよ。
それが、すごくいいバランス」

と絶賛していました。
ラブレターズ、馬場さんに愛されてるなあ。

それと児島さんが、去年のグローブ座公演で客入りを心配していた2人を
ずっと見ていたので、最終的に「埋まりそうなんです!」と
嬉しそうな顔をしていて、一緒に嬉しくなったと。
 
いや~、児島さんの意見には会場中が終始感嘆していたな。
トークに出てきた芸人仲間のエピソードも良かった。
磁石永沢さんの責任感。
エルシャラカーニ清和さんの面倒見の良さ。
スパローズ大和さんの、芸人ならではの金銭的アドバイス。
 
最後に、客席から割れんばかりの拍手がおこったやりとりを。
 
馬「次にお笑いの波が来るときに向けて、ちゃんと備えて
・・・次の波はいつ来るんですかね?」
 
児「波は待つものじゃないよ!起こすものでしょ!
待っていたって年を取るだけなんだから!」
 
馬「(まいった!という笑顔で)みんな、今日はコレを
聞けただけで来た甲斐があったでしょ?」